

ブラジル音楽に興味を持ったときくらいからか、膨大な音楽の海を前にして途方に暮れるようになった。現代の新しい音楽との出会いを探す暇がない。。。ただ年取っただけかもしれない。まあ、100年前の音楽でも初めて聴くときは自分にとっては新しい音楽だから、別に新曲を追い求める必要ないとも言える。村上春樹さんの「ノルウェーの森」に50年以上前に書かれた小説しか読まないという先輩が出てきた気がする。わからなくもないが、やっぱり新しい音楽との出会いは格別にワクワクするし、ピーター・バラカンさんのラジオは毎週聞いている。と、新しい曲について書いてきたが、今回、紹介したいのは故郷のような音楽だ。もう何回聴いたかわからないけど、定期的に無性に聞きたくなる、多くはティーンエイジャーの時に取り憑かれたようにどっぷりとつかっていた音楽だ。曲というのは3分なら3分で決まっていて、それ以上長くも短くもならない。という意味でいえば、音楽というのは時間を共有しているようなものでもある。私の人生でものすごく時間を共有した曲たちを紹介したい。
まずは、Otis Reddingだ。どう出会ったのかよく覚えていないが、朧げにJimi HendrixがOtisを聞くと無性に泣けてくると言ったという記事を読んで聞き始めたような記憶がある。中学生の頃から本当に取り憑かれたように聞いている。19歳の時にヨーロッパ旅行に行ったのだが、当時はカセットテープをウォークマンに入れて聞いていたので、たくさんのテープを旅行に持って行くわけにはいかなかった。(今は携帯さえあれば何曲でも聞けてしまう。)だから10本くらいしかカセットを持っていけなかったのだが、Otisのベスト盤はそのカセット中でも一番大切なものだった。このカセットを電車に揺られながら何度も何度も聞いた。日本で生まれた少年の心をなぜOtisの歌声がとらえてはなさなかったのか、よくわからない。でも、今でも1か月に1回はOtis流しっぱなしという日がある。
Apple Muisc
Amazon
ヨーロッパに持っていた一つにThe Blue Heartsのファーストアルバムがあるけど、ブルハは何度も紹介しているので今回はなしにしておきます!
僕が最初に出会った洋楽の(今でも洋楽っていうのかな?)アーティストはBilly Joelだ。兄貴の部屋で“52nd Street”に針を落とした(もちろん、この時代にCDはない)瞬間から僕は音楽の魔法にかかったままだ。しばらくして自分のなけなしのお小遣いで買った“Piano Man”を学校から帰ってきてからご飯まで、ご飯を食べてから眠りにつくまで、何度も何度も聴いたのを覚えている。
「Piano Man」ビリー・ジョエルびっくりすることに、英語ネイティブではないのに、今でもBillyのほとんどの歌が歌えてしまう。中学生の熱はおそるべしだ。
Charlie Parkerを聞き始めたのはEric Claptonの影響だ。ClaptonがいたYardbirdsというバンドの名前は昔のジャズミュージシャンからとっていると雑誌か何かで読んで、15歳になるかならなかのロック少年がなけなしのお小遣いをはたいて買ったのが “Charlie Parker Story On Dial” だ。我ながらよく買ったものだと思う。雑音の向こう側から聞こえてくるそれまで聞いたこともないくらい速くて熱い何かが僕を完全に捉えた。
「Moose the Mooche」チャーリー・パーカーその頃は即興で演奏されているなんてことは露知らず、同じ曲の別テイクがたくさん入っているのにも面食らったのを覚えている。中学生らしいが、もし、耳が聞こえなくなってもこの音を頭で覚えていられるようにしようとほんとに何度も何度も聴いた。
そしてもう1枚、 “Ella and Louis” を。嫌なことがあった日の夜にはたいていこのアルバムに身を投げる。大学生の時だったと思うが、ワゴンセールの中から1,000円以下で売られているのを買った記憶がある。Charlie Parker から時代のとおりジャズを聴いていた僕はLouisとは逆の方向に進んでいたので、「Louis Armstrongか、名前だけは知っているな、1,000円なら買うか」というくらいのノリだった。家に帰って、CDをかけて、Oscar Petersonのピアノが一音鳴った瞬間に心が溶けた。僕にとってジャズはハードな音楽だった。Charlie Parker もSonny Rollinsも高みに向かって、何かと戦っている感じだ。このアルバムが鳴らすジャズはただひたすらに暖かい。暖炉の前で本を読みながらうたた寝をしている感じだ。僕にとってはこれ以上の心を安らげる薬はない。
「Can‘t we be friends? 」エラ・フィッツジェラルド & ルイ・アームストロング最後にいつも通り、僕の曲を。この曲はOtisに捧げた曲だ。我ながら歌詞がうまくかけた気がする。実は、今のレーベルのプロデューサーとオンラインで面談をして、「じゃあ、何曲か録ってみましょう」と言ってもらえた、その晩にできた曲で、音楽への愛があふれ出た曲です。

Otis 作詞作曲:金子茶琳
He started to sing when he was born
Sweetest melody just like horn
Mom always fell in sleep
His voices reached into deep
All he needs is an old man guitar
He just needs simple chords
Starry sky is dancing far
Every solider fold sword
He can make every song to love
He wakes up inside you white dove
He was born to sing for a broken heart
Born to sing for present sinners
Born to sing for every butterfly
Born to sing for future cry
All he needs is an old man guitar
He just needs simple chords
Starry sky is dancing far
Every solider fold sword
He can make every song to love
He wakes up inside you white dove
こちらもオススメ
音楽好きのつぶやきVol.1 Island In The Sun - ウィーザー
EmAmDG、シンプルなコードのシンプルな繰り返し。このコードで今までたくさんの曲がかかれてきたのは胸がしめつけられるような郷愁を誰もが覚えるからか。音楽は不思議だ。純粋に音だけで心が動く。このコードで書かれた曲の中で僕が最初に思いつくのはこの曲。Weezerには胸がしめつけられるような曲が多いけどこの曲は極めつけ。ギターのイントロだけで景色から色が失われていく気がする。 Apple Music Amazonhttps://amzn.to/2YDtWKg 最後に紹介する僕の曲のサビの部分で“Swingin ...
音楽好きのつぶやきVol.9 Jackie-ing - セロニアス・モンク
Thelonious Monkの前にも後にもThelonious Monkの音は鳴らない。彼の音楽はJazzだとかBe-bopだとかではなくThelonious Monkだ。 たいていの巨人はたくさんのフォロワーを生み出す。だが、どことも陸続きでない、離れ小島のような巨人もいる。その音楽はものすごく多くの人を、そして、ミュージシャンを虜にするのに、それに続く人がいない。というか、続く方法がわからない、もしくは、続けることに意味が見いだせない、そんな感じなのだろうか。 Thelonious Monkはまさに ...
音楽好きのつぶやきVol.21 Sitting In My Hotel - ザ・キンクス
ザ・キンクスがRCA時代の名盤である『マスウェル・ヒルビリーズ』と『この世はすべてショー・ビジネス』の発売50周年を記念してリマスターやら未発表リミックス等いれこんだCDを発売したというニュースを聞いて、改めて、2枚を聞きなおしてみた。(結構、この2枚はよく聞くので、改めてっいうほどではないのだが)私はちょっとしたキンキーフリークなので、初期のとんがったキンクスもちょっとずつメインからずれていく頃のキンクスも後期のいなたいロックンロールをやってるキンクスも全部好きなのですが、やはり、この2枚は別格ですね ...
音楽好きのつぶやきVol.22 Piano Man - ビリー・ジョエル
ビリー・ジョエルの1990年のニューヨーク・ヤンキー・スタジアムでのライブ映像(LIVE AT YANKEE STADIUM)を映画館で見た。最高。録音音源もいいけど、ライブがいい。ビリーは根っからのエンターテイナーだ。とにかく、来てくれた人を愉しませたい。バンド全体がそんな感じ。もちろん、曲がいい。ヒット曲のオンパレードなので悪いわけがない。もう何十度目かのビリーのマイ・ブームがやってきたので、今回はビリーの曲を紹介したいと思う。まずは、僕が中学生の頃、兄貴の部屋から借りてきたこのアルバムから。 こ ...
音楽好きのつぶやきVol.8 Tears of Rage - ザ・バンド
伝説と呼ばれるようなバンドにいた人がバンドから解放された時に生み出す曲が僕は結構好きだ。何か新しいことをやらなきゃ、前作と同じことをやっちゃダメだ。そんな強迫観念は呪いとなってその人をむしばみ、やがて、その人の中から染み出てくるような音楽ではなく、何かたくらみのような上っ面だけの音楽しか出てこなくなる。そんな呪いが解けたとき、ただやりたい音楽ができる魂の喜びや心のほぐれが自然と声や曲を豊かにする。今日はそんな曲を紹介したい。 まずは、Genesisから解放されたPeter Gabrielのこの曲を。 Ap ...
音楽好きのつぶやきVol.17 Move - スタン・ゲッツ
本当に久しぶりにブルーノート東京を訪れた。Michel Camiloのソロ。Jazz聞くようになったばかりの頃、彼の“Michel Camilo”を聞いて、その気持ちいいくらいのテクニックに驚愕して以来、彼のピアノは大好きだ。コロナ明けの2年ぶりくらいのブルーノートで聞くアーティストが彼で本当によかった。全身すべてが音楽でできているような人で、弾いている間もずっと笑っていて、曲の最後には必ず「どうだ!」とばかりに立ち上がる。聞いているほうとしては「参りました!」としか言いようがない。自分で弾いているわけ ...
