

伝説と呼ばれるようなバンドにいた人がバンドから解放された時に生み出す曲が僕は結構好きだ。何か新しいことをやらなきゃ、前作と同じことをやっちゃダメだ。そんな強迫観念は呪いとなってその人をむしばみ、やがて、その人の中から染み出てくるような音楽ではなく、何かたくらみのような上っ面だけの音楽しか出てこなくなる。そんな呪いが解けたとき、ただやりたい音楽ができる魂の喜びや心のほぐれが自然と声や曲を豊かにする。今日はそんな曲を紹介したい。
まずは、Genesisから解放されたPeter Gabrielのこの曲を。
Apple Muisc
Amazon
この曲はものすごく優しいイントロで、どこまでも心地よいが、詞はGenesisとの決別を宣言しているようにも聞こえる。その意味ではバンドから解放された喜びというよりも決意表明のような曲だ。優しいメロディーの中から意思がわきあがってくるようなPeter Gabrielの歌い方が好きだ。
次は、史上最も偉大とも言える、つまり、最もひどいプレッシャーとなっていたであろうバンド、そう、The Beatlesから解放されたPaul McCartney の曲を。Beatlesが解散してから少したっての曲だからちょっと今回のテーマとは違うかもしれないけど、新しいものを創ろうという気負いは感じられず、自然とできてしまったのではないかとさえ感じさせるこの曲を。
「Silly Love Songs」ウイングスしかし、この曲の最後のほうで、それまでに出てきたメロディーが次から次への重なっていくところは何度聞いてもいいなあ。
即興を中心にした新しい演奏、メンバー間の緊張、神とまで言われてしまう状況など、Eric Claptonにはとんでもないプレッシャーがかかっていたことだろうと思う。そんなClaptonを救ったのはアート化していくロックに、綿々と連なる人々の歌を思い出させたこの人たちの曲だったという。バンドから解放されたClaptonの歌ではなく、Claptonをバンドから解放したという意味で。
「Tears of Rage」ザ・バンドしかし、この曲をやっていた頃、The Bandの面々は20代半ばだったというのは、ほんと信じがたい。
最後は、これまた乗り越えなければいけないものが大きすぎたこの人の曲を。Brian Wilsonにとって一番の呪縛は未完成になってしまった”Smile”だったのだろうと思う。後に”Smile”も完成はされることになるが、いったんそれは置いておいて、普通のBrian Wilsonを全開させたこのアルバムは1曲目から最後までずっと夏だ!きっとBrianも気持ちよーくつくったんだろうなあと思う。
「Your Imagination」ブライアン・ウィルソンクリエイティブ圧力がどんどん増していく。価値を生み出し続けないといけないなんて、息苦しくてしょうがない。僕は曲を書いたり、文章を書いたりしているが、改まって価値を生み出したいと思ったことはない。面白いからやってるだけだ。今回紹介した曲はみんなそんな圧力から解放された瞬間、アーティストがただ楽しんだ結果、クリエイティビティが爆発した曲だ。最後に紹介する私の曲は、そんな圧力から逃げろという曲だ。思いっきり人生を楽しまなかったら、クリエイティブや価値創造なんて大した意味はない!

Run away from a parade 作詞作曲:金子茶琳
Good morning Johnny
Can you hear little birds sing?
Good morning Bonnie
Can you feel sunshine ring?
May you stay among wonders of world
Hello Lemmy
Have you had enough mother’s cook?
Hello Amy,
Are you satisfied today how you look?
May you stay among wonders of world
So many books of works and questions
To you all they ask are answers and solutions
They make you afraid that world gives you terrible fright
and if you can't hardly try, if you can't survive, you will die
Run away
from parade
Library is full of books
Fun is overflowing in the woods
There are tons of movies to look
Run away
from parade
Let’s sing and drink over up late
Value will not be something we create,
It just will be here anyway
Good night Billy,
Can you hear DJ’s talk?
Good night Minnie,
Let’s go moonlight walk
May you stay among wonders of world
So many books of works and questions
To you all they ask are answers and solutions
They make you afraid that world gives you terrible fright
and if you can't hardly try, if you can't survive, you will die
Run away
from parade
Library is full of books
Fun is overflowing in the woods
There are tons of movies to look
Run away
from parade
Let’s sing and drink over up late
Value will not be something we create,
It just will be here anyway
Good morning Johnny
Can you hear little birds sing?
Good morning Bonnie
Can you feel sunshine ring and love?
こちらもオススメ
音楽好きのつぶやきVol.17 Move - スタン・ゲッツ
本当に久しぶりにブルーノート東京を訪れた。Michel Camiloのソロ。Jazz聞くようになったばかりの頃、彼の“Michel Camilo”を聞いて、その気持ちいいくらいのテクニックに驚愕して以来、彼のピアノは大好きだ。コロナ明けの2年ぶりくらいのブルーノートで聞くアーティストが彼で本当によかった。全身すべてが音楽でできているような人で、弾いている間もずっと笑っていて、曲の最後には必ず「どうだ!」とばかりに立ち上がる。聞いているほうとしては「参りました!」としか言いようがない。自分で弾いているわけ ...
音楽好きのつぶやきVol.7 Africa Unite - ボブ・マーリー
何かと不安の多い、不穏な時代が訪れる予感が渦巻いている。気候変動、民主主義の危機、資本主義による息苦しさ、どんどん長くなる人生、どんどん肥大化する夢。私たちは大きな問題に直面しているようだ。そんな時に音楽はどんな意味が持てるのだろうか。振り返ってみれば、僕もたくさん不安と対峙してきた。その度にいろんな曲が僕を前に向かせてくれた。年の終わりにそんな曲を今回は紹介したい。 まずはBob Marleyだ。Bobの声はいつだって愛に満ちている。怒りから溢れでた曲を歌っているときにも声には愛が満ち満ちて、にじみでて ...
音楽好きのつぶやきVol.3 旅人 - THE BLUE HEARTS
導火線に火がついたのはいつだったろうか中学生の頃か生まれる前か爆発寸前の火薬のようなレコードが好きだった 僕の最初のヒーローはブルース・スプリングスティーンだった。バンダナを巻いたアメリカ人が顔も飛び出さんばかりに「俺はアメリカに生まれた」と叫んでいる。ロックンロールの洗礼だ。何に対しても夢中になれない、ただぼんやりと暇をつぶすように生きていた中坊の導火線に火がついたどころか、爆発した瞬間だ。それ以来、僕の人生は音楽と、ロック・アンド・ロールと、合体した。その後に聞いたボス(ブルース・スプリングスティーン ...
音楽好きのつぶやきVol.2 すべての人の心に花を - 喜納昌吉&チャンプルーズ
大学生の頃、一人で沖縄を旅したことがある。小浜島という小さな島に2週間くらい滞在した。大きなリゾートホテルがある島なのだが、まあ、大学生男子の一人旅で泊まるわけもなく、小さな民宿に泊まっていた。1日目の晩ごはんを食べ終わると、宿の若い主人が「もう少し食堂にいられる?」とニコニコ顔で言ってきた。まあすることもないのでぼーっとしていると、次から次へと右手に三線、左手に泡盛を持ったおっちゃん、おばちゃんが集まってくる。始まったのは、そう、いつ終わるともしれぬ呑めよ、歌えよだ。なれない泡盛のせいなのか、音楽のせい ...
音楽好きのつぶやきVol.21 Sitting In My Hotel - ザ・キンクス
ザ・キンクスがRCA時代の名盤である『マスウェル・ヒルビリーズ』と『この世はすべてショー・ビジネス』の発売50周年を記念してリマスターやら未発表リミックス等いれこんだCDを発売したというニュースを聞いて、改めて、2枚を聞きなおしてみた。(結構、この2枚はよく聞くので、改めてっいうほどではないのだが)私はちょっとしたキンキーフリークなので、初期のとんがったキンクスもちょっとずつメインからずれていく頃のキンクスも後期のいなたいロックンロールをやってるキンクスも全部好きなのですが、やはり、この2枚は別格ですね ...
音楽好きのつぶやきVo.1 Island In The Sun - ウィーザー
EmAmDG、シンプルなコードのシンプルな繰り返し。このコードで今までたくさんの曲がかかれてきたのは胸がしめつけられるような郷愁を誰もが覚えるからか。音楽は不思議だ。純粋に音だけで心が動く。このコードで書かれた曲の中で僕が最初に思いつくのはこの曲。Weezerには胸がしめつけられるような曲が多いけどこの曲は極めつけ。ギターのイントロだけで景色から色が失われていく気がする。 Apple Music Amazonhttps://amzn.to/2YDtWKg 最後に紹介する僕の曲のサビの部分で“Swingin ...