fbpx

KANEKO Chalin 音楽好きのつぶやき

音楽好きのつぶやきVol.9 Jackie-ing - セロニアス・モンク

KANEKO Chalin
KANEKO Chalin
My Favorite CD

Thelonious Monkの前にも後にもThelonious Monkの音は鳴らない。彼の音楽はJazzだとかBe-bopだとかではなくThelonious Monkだ。

たいていの巨人はたくさんのフォロワーを生み出す。だが、どことも陸続きでない、離れ小島のような巨人もいる。その音楽はものすごく多くの人を、そして、ミュージシャンを虜にするのに、それに続く人がいない。というか、続く方法がわからない、もしくは、続けることに意味が見いだせない、そんな感じなのだろうか。

Thelonious Monkはまさにそんな巨人の一人だと思う。一つ一つの音は粒だっているけど、それが空間のどこに配置されていくのか、全く予想がつかない。僕のMonkとの出会いだった「Monk in Italy」の1曲目のこの曲を。

Apple Muisc

Amazon

https://amzn.to/3AqLl7O

なんで急にThelonious Monkなのかというと、先日「Monk in Europe」という映画を見たからだ。映画の中のライブのリハーサルで、実力派ぞろいのホーンの演奏者たちが曲の構造がわからず戸惑っているのをCharlie Rouseが一生懸命教えているのをMonkはピアノの椅子に座って無表情に見ているがものすごくMonkぽっくて面白かった。

さて、続いてもJazzから。こちらはミステリアスというより、「素」過ぎて誰にも真似できない巨人を。彼の音楽には何のけれんみもない。舞台の上で演奏されているのではなく、車の助手席で歌っているように歌い、川辺でくつろいでるときに遠くから聞こえてくる練習のような感じでトランペットを吹く。僕にはそんな風に聞こえる。でも誰も彼のようには吹けないし、歌えない。人生は無茶苦茶だったけど、音楽は本当に普通でクールなChet Bakerの曲を。

「Yardbird Suite」Stan Getz& Chet Baker Quartet

本家のCharlie ParkerとDizzy Gillespieの演奏と聞き比べてみると、その違いがよくわかって面白い。

もう一人、とてつもなくナチュラルで誰にも真似できないこの人の歌を。

「Oração Ao Tempo」マリア・ベターニア

Billie Holidayは個性的なだから「モノマネ」しやすいけど、Ella Jane Fitzgeraldは普通で自然体だから「モノマネ」しづらいと聞いたことがある。Mariaもそんな歌い手だと思う。本当に簡単そうに普通に歌う。だからこそ気持ちいいんだけど。 

次は偉大なこのバンド、The Bandの曲を。「いやいや、アメリカーナとかサザンロックとかフォロワーたくさんいるのでは?」と突っ込んでいる人もいるかもしれないが、僕が話したいのはGarth Hudsonだ。彼がロックバンドにいるのは奇跡だ。The Bandは十分に優れたロックンロールバンドだけど、Garth Hudsonがオルガンを弾くからこそ特別なロックロールバンドに変身する。Garthのオルガンは曲の前面に出てくることはあまりないけど、ミキサーの底で回っている歯のように、曲の底の方から曲をグルングルンかきまわして、シンプルな曲を混乱へと昇華させる。Butterfieldのトレインとしか言いようのないハーモニカもいいし、Levon Helmのボーカルも素晴らしいけれど、暴れまわるGarthがききもののこの曲を。 

「Mystery Train」The Band with Paul Butterfield

もう1曲、フォロワーがいないというようより、自分自身の音楽がつながっていないように感じるこの人の曲を。ジギー・スターダストからソウルへそしてベルリンからロックアイコンへ。わざととか、額に汗して変化するのでなく、まるで昆虫の変態のように変化していく。純粋に変化しているだけで別に向上しているわけでもない。まさに”Change”だ。

「Changes」デヴィッド・ボウイ

さて、最後にいつもの通り僕の曲を。僕は別に巨人でもないし、もちろん、フォロワーもいないので、今回書いた内容に合う曲というのも難しいのだが、昨年末にかいた曲を紹介します。いつもの通りフォーク調の曲だったのだが、BandLabにあげたら、何人かがどんどん音を足してくれて、最終的にちょっとミステリアスな曲になったのでこの曲を。しかし、この重めの歌詞にDoo-wop調のバックコーラスは想定外だったなあ。 

KANEKO Chalin
KANEKO Chalin
KANEKOの本日の一曲

365 days will have passed in tomorrow  作詞作曲:金子茶琳

365 days will have passed in tomorrow
Sometimes fast, sometimes slow
Like a river from the mountain to the sea, each day just flow
Sometimes fun, sometimes sorrow

A lot of drama was written and many times I enjoyed
Sometimes laughed, sometimes cried
I drank a lot of beer to take home, at last got to drink freshly poured
Sometimes happy, sometimes bitter

New babies were born, and some passed away
New love started and lost on the way
New songs were born, and the old still stay
There are not enough love songs to play
I just wanna be with you in New Year's Day

A lot of hard rain had come again and again and again
Some lives passed, left lives in pain
My old daddy was in hospital, but I could never see
Some lives saved, someday we'll meet

That day all watched TV that The Capitol was attacked and burned
Some crimes punished, some crime put under
A celebration of peace will be hosted in the land of genocide
Too many killers, too many lies,

New babies were born, and some passed away
New love started and lost on the way
New songs were born, and the old still stay
There are not enough love songs to play
I just will be with you in New Year's Day

365 days will have passed in tomorrow
Sometimes fast, sometimes slow
Like a river from the mountain to the sea, each day just flow
Sometimes fun, sometimes sorrow

こちらもオススメ

音楽好きのつぶやきVol.17 Stan Getz - Move
音楽好きのつぶやきVol.17 Move - スタン・ゲッツ

 本当に久しぶりにブルーノート東京を訪れた。Michel Camiloのソロ。Jazz聞くようになったばかりの頃、彼の“Michel Camilo”を聞いて、その気持ちいいくらいのテクニックに驚愕して以来、彼のピアノは大好きだ。コロナ明けの2年ぶりくらいのブルーノートで聞くアーティストが彼で本当によかった。全身すべてが音楽でできているような人で、弾いている間もずっと笑っていて、曲の最後には必ず「どうだ!」とばかりに立ち上がる。聞いているほうとしては「参りました!」としか言いようがない。自分で弾いているわけ ...

音楽好きのつぶやきVol.16 Salif Keita - MADAN
音楽好きのつぶやきVol.16 MADAN - サリフ・ケイタ

 今回は声に注目して曲を選曲したいと思う。ジャズも大好きなので声が入ってない音楽もよく聞くけれど、やっぱり「歌」が大好きだ。ジャズの中でも一番好きなのはトランペットなんだけど、それはやっぱり一番、人の声に近いからかなあと思う。声に注目してと言いながら、最初はまるで歌っているようなClifford Brownのトランペットから。  さて次からは人間の本当の声に注目します。この人のどこまで高く突き抜けていく声はやっぱり格別だ。歌を聞いていると、まるで彼の声の翼に乗って空高く舞い上がる。病気になってかつての輝き ...

音楽好きのつぶやきVol.13 Bob Dylan - Blowin’ in the wind
音楽好きのつぶやきVol.13 Blowin’ in the wind - ボブ・ディラン

 心が張り裂けそうだ。いくら考えても子ども達が爆弾から逃げ回らなければならない理由が思い浮かばない。状況は悪くなるばかりだ。人間は愚かだ。そんなことはわかっている。でも、逃げ回る子ども達を見て何も感じない人がいることを僕は理解できない。絶対的に正しいことなんかないのだろうし、僕は僕の価値観に縛られてたくさんの誤ったことをするだろうけど、逃げ回る子ども達を見て心が痛むのは理屈でも価値観でもなく直感だ。「ロシアがウクライナを攻撃しているわけではない」と話す時、彼らの心は少しも痛まないのだろうか。  音楽の話し ...

音楽好きのつぶやきVol.2 喜納昌吉&チャンプルーズ - すべての人の心に花を
音楽好きのつぶやきVol.2 すべての人の心に花を - 喜納昌吉&チャンプルーズ

大学生の頃、一人で沖縄を旅したことがある。小浜島という小さな島に2週間くらい滞在した。大きなリゾートホテルがある島なのだが、まあ、大学生男子の一人旅で泊まるわけもなく、小さな民宿に泊まっていた。1日目の晩ごはんを食べ終わると、宿の若い主人が「もう少し食堂にいられる?」とニコニコ顔で言ってきた。まあすることもないのでぼーっとしていると、次から次へと右手に三線、左手に泡盛を持ったおっちゃん、おばちゃんが集まってくる。始まったのは、そう、いつ終わるともしれぬ呑めよ、歌えよだ。なれない泡盛のせいなのか、音楽のせい ...

Piano Man - ビリー・ジョエル
音楽好きのつぶやきVol.22  Piano Man - ビリー・ジョエル

 ビリー・ジョエルの1990年のニューヨーク・ヤンキー・スタジアムでのライブ映像(LIVE AT YANKEE STADIUM)を映画館で見た。最高。録音音源もいいけど、ライブがいい。ビリーは根っからのエンターテイナーだ。とにかく、来てくれた人を愉しませたい。バンド全体がそんな感じ。もちろん、曲がいい。ヒット曲のオンパレードなので悪いわけがない。もう何十度目かのビリーのマイ・ブームがやってきたので、今回はビリーの曲を紹介したいと思う。まずは、僕が中学生の頃、兄貴の部屋から借りてきたこのアルバムから。  こ ...

音楽好きのつぶやきVol.21  Sitting In My Hotel - ザ・キンクス
音楽好きのつぶやきVol.21  Sitting In My Hotel - ザ・キンクス

 ザ・キンクスがRCA時代の名盤である『マスウェル・ヒルビリーズ』と『この世はすべてショー・ビジネス』の発売50周年を記念してリマスターやら未発表リミックス等いれこんだCDを発売したというニュースを聞いて、改めて、2枚を聞きなおしてみた。(結構、この2枚はよく聞くので、改めてっいうほどではないのだが)私はちょっとしたキンキーフリークなので、初期のとんがったキンクスもちょっとずつメインからずれていく頃のキンクスも後期のいなたいロックンロールをやってるキンクスも全部好きなのですが、やはり、この2枚は別格ですね ...

An Usual Miracle - KANEKO Chalin

PR

-KANEKO Chalin 音楽好きのつぶやき
-,