

本当に久しぶりにブルーノート東京を訪れた。Michel Camiloのソロ。Jazz聞くようになったばかりの頃、彼の“Michel Camilo”を聞いて、その気持ちいいくらいのテクニックに驚愕して以来、彼のピアノは大好きだ。コロナ明けの2年ぶりくらいのブルーノートで聞くアーティストが彼で本当によかった。全身すべてが音楽でできているような人で、弾いている間もずっと笑っていて、曲の最後には必ず「どうだ!」とばかりに立ち上がる。聞いているほうとしては「参りました!」としか言いようがない。自分で弾いているわけではないのにMichel一体化してカタルシスを感じる。最上級のライブ音楽だ。
今回は、問答無用のカタルシス・ジャズ・ライブアルバムを紹介したいと思う。
最初は「本当にジャズのコンサートか?」というこのアルバムから。
「Moanin’ with Hazel」Art Blakey and The Jazz Messengersこの3枚組のライブアルバムは皮が極限まで薄いアンパンのようにFunkyがパンパン詰まっている。今回はBobby Timmonsのピアノのソロの最後ほうで感極まったHazelさんが叫ぶことで有名なMoanin‘を紹介したが、1枚目の1曲目の“Politely”からずっと興奮しているお客さんの声が入っていて、最後には歌いだす。「おいおい、ジャズのコンサートだろ、これ?」と突っ込みたくなる。いやあ、宇宙人が来て、「Funky」とは何かと聞かれたら、僕は、James Brownでも、Slyでも、George Clintonでもなく、この頃のArt Blakey and The Jazz Messengersを聞かせる。Art Blakey関連ではまだまだたくさん問答無用のライブアルバムがあってほとんど外れはないので、見かけたら必ず聞くべきだ!
次も、問答無用のライブの定番ともいえるこのアルバムから。
「How High The Moon」エラ・フィッツジェラルドこのベルリンのEllaのライブはとにかく楽しい。Ellaがはじけまくって、SWINGだかなんだからわからないけど、とにかく聞いている方の気分が月に飛んでいく。MCでしゃべるEllaの声がかわいいのでそこも聞きどころ!
次は打って変わって、ジャズの胡散臭さ満載のこのアルバムから。
「A Night In Tunisia」ソニー・ロリンズ今や聖地のひとつでもあるヴィレッジヴァンガードで初めて録音されたライブ盤だし、Sonnyにとっても初めてのライブアルバム。初めてのライブアルバムをコード楽器なしのサックス、ベース、ドラムスの構成でやっちゃうSonnyはやっぱりすごい。ヴィレッジヴァンガードには行ったことがないので(行きたい!)、どんなお店だかはわからないけど、このアルバムを聞くと絶対地下のお店だと感じる。地下から漏れてくるSonnyの問答無用のアドリブ、Elvin Jonesのファンキーなリズム。いやあ、生まれ変われたらリアルに出会いたいと心から思います。
さて、次は問答無用のスウィング!村上春樹さんが「でも僕にとっては最終的にはスコット・フィッツジェラルドこそが小説(the Novel)であり、スタン・ゲッツこそがジャズ(the Jazz)であった。」(『ポートレイト・イン・ジャズ』村上春樹著)と書いているStan GetzのこれまたSwingだけでできるようなライブアルバムから。
「Move」スタン・ゲッツこの曲も最後のドラムソロが終った瞬間にお客さんがMichael Jacksonばりに「ヒャホー」と叫ぶ。気持ちはものすごくわかる。このライブアルバムを聞くときは、皆さんも一緒に「ヒャホー」と叫ぶべきだ!
次は僕にとってのthe Jazzと言えるこのライブアルバムから、一つ前の朝ドラで有名になった曲を。
「On the Sunnyside of the Street」ルイ・アームストロング僕にとってはこれこそがJazzだ。もちろん触れたら切れそうなナイフのようなJazzも好きだけど、やっぱりこの問答無用のただ楽しませたいだけの、ダメダメな毎日を全肯定してくれるLouisのJazzこそが僕が必要としているJazzだ。このアルバムではBig TことJack TeagardenとLouisのデュエットも聞きどころです。ところどころに入るLouis達の話し声やガハハハッという笑い声がたまらく好きです。
最後はライブじゃないけど、タイトルだけで今回のテーマにはよくあっているこの曲を。
「No Room For Squares」ハンク・モブレーそうです要するに「お堅い奴 お断り」ということです。
さていつものように最後に僕の曲を。全くジャズじゃないですが、問答無用に前向きな歌詞なので、この曲を。勢いだけで作った曲です!

A Guinness World Record of chatting 作詞作曲:金子茶琳
I had a big fight with you about which is a better the Police or Van Halen' drummer
We had a race in a big bathroom over who could whistle the Stranger better
It is amazing when we made a casserole with cup noodles powder
We danced and chugged a bottle of expensive brandy of our senior
We talked and drunk and drunk and talked and there was still what we talk
The amount of time we are chatting may be like a Guinness World Record
How much time left, I don't know
The goal that we have reached is no longer a goal
All I want to do is to roll
Soul to soul
We walked home two stations for no reason in the midnight in the middle of winter.
Jumping from a puddle to a puddle like little boys and girls.
When I woke, I found your shadow of still playing TV game in the morning light
Just to make girls laugh, we used to watch comedy all night
おしゃべりのギネス世界記録
ポリスとヴァン・ヘイレンのドラマーはどっちがうまいか お前と大喧嘩したな
大浴場でストレンジャーの口笛をどちらが上手に吹けるか 競争したな
カップヌードルの粉で鍋を作ったらすごいことになったな
先輩の高いブランデーを踊りながら一気飲みしたな
話して、飲んで、酔って、話して、まだ話すことがあった
おしゃべりした時間はギネス級だよな
後どれくらいの時間が残っているのか わからない
たどり着いたゴールは もはやゴールではない
ただ転がりたい
魂から魂へ
真冬の真夜中に意味もなく2駅分歩いて帰ったな
少年少女のように水たまりから水たまりへジャンプしたな
起きたら朝の光の中でまだテレビゲームをやっているお前の影
女の子を笑わせるために一晩中お笑いを見てたよな
こちらもオススメ
音楽好きのつぶやきVol.4 Everything about it is a love song - ポール・サイモン
私が好きな生きているミュージシャンは殆ど60歳以上だ。(殆どはこの世にいない。)若くにして亡くなったミュージシャンは若いままでかっこいいが、年を取ったミュージシャンはほぼみんなダンディになる。数年前、Bob Dylanのライブハウスツアーのコンサートに行った。ギターは一度も弾かず、マイクを持って、時々あまりうまいとは言えないキーボードを弾きながら歌っていたのにもびっくりしたが、もっとびっくりしたのは、新作だった「Tempest」からの曲がメインで、いわゆるよく知られた曲は殆どやらなかったこと。「俺の新作を ...
音楽好きのつぶやきVol.2 すべての人の心に花を - 喜納昌吉&チャンプルーズ
大学生の頃、一人で沖縄を旅したことがある。小浜島という小さな島に2週間くらい滞在した。大きなリゾートホテルがある島なのだが、まあ、大学生男子の一人旅で泊まるわけもなく、小さな民宿に泊まっていた。1日目の晩ごはんを食べ終わると、宿の若い主人が「もう少し食堂にいられる?」とニコニコ顔で言ってきた。まあすることもないのでぼーっとしていると、次から次へと右手に三線、左手に泡盛を持ったおっちゃん、おばちゃんが集まってくる。始まったのは、そう、いつ終わるともしれぬ呑めよ、歌えよだ。なれない泡盛のせいなのか、音楽のせい ...
音楽好きのつぶやきVol.5 Fun, Fun, Fun - ザ・ビーチ・ボーイズ
何も考えなくてもいい映画を見るのが好きだ。休日とか仕事を終えた夜とか。もちろん、コメディ映画で笑うのもいいが、アクション映画で興奮するのもよい。007は大好物だ。特に今のボンドのダニエル・クレイグさんのボンドは大好きだ。動きについていくのがやっとなくらいキッレキレで、頭の中が空っぽになっていく。ストーリーは心地よいくらいの複雑さ。 音楽にも同じような感覚がある。ロックンロールは3分以内と言ったのが誰だか知らないが、激しく同意する。というわけで、複雑なアートになっていっていたロックンロールの救世主だったこの ...
音楽好きのつぶやきVol.12 Change Is Gonna Come - サム・クック
人間はなぜこんなにも愚かなことをするのだろうか。僕ら一人一人には戦争を止める力なんてない。逃げ惑う老婆を、うずくまる子ども達に覆いかぶさる親を助けてあげることはできない。モニターに映し出される映像をみて憤りと悲しみを感じ、自分の無力さを呪う。 音楽には何ができるだろうか。 戦争が起こる度に、人々が虐げられるたびに歌われるプロテストソングがある。今回はそんな歌を紹介したい。 プロテストソングの前にウクライナの偉大なピアニストが人種差別を禁止する法律が可決される一方、ベトナム戦争が起こされようと ...
音楽好きのつぶやきVol.16 MADAN - サリフ・ケイタ
今回は声に注目して曲を選曲したいと思う。ジャズも大好きなので声が入ってない音楽もよく聞くけれど、やっぱり「歌」が大好きだ。ジャズの中でも一番好きなのはトランペットなんだけど、それはやっぱり一番、人の声に近いからかなあと思う。声に注目してと言いながら、最初はまるで歌っているようなClifford Brownのトランペットから。 さて次からは人間の本当の声に注目します。この人のどこまで高く突き抜けていく声はやっぱり格別だ。歌を聞いていると、まるで彼の声の翼に乗って空高く舞い上がる。病気になってかつての輝き ...
音楽好きのつぶやきVol.19 Bang Bang - ジョー・キューバ
暑い!いや、熱い!基本、自転車移動なので、この時期は基本、高校球児かというくらい日焼けしているのだが、先日、昼間に自転車で移動した時、あまりの暑さに脳みそがとけそうになった。。。息を吸えど、吸えど、空気が入ってこない感じ。で、こんな時はもう涼しげな音楽を聞いてもダメだと思い、脳みそが溶ける音楽を頭に浮かべつづけたのです。今回はその時に思い浮かんだ曲を紹介します。 まずはこのバックビートに打たれるたびに、体中のねじがちょっとずつ緩んでいくような、まさに脳みそを溶かすこの曲から。 しかし、Don Drumm ...