私が好きな生きているミュージシャンは殆ど60歳以上だ。(殆どはこの世にいない。)若くにして亡くなったミュージシャンは若いままでかっこいいが、年を取ったミュージシャンはほぼみんなダンディになる。
数年前、Bob Dylanのライブハウスツアーのコンサートに行った。ギターは一度も弾かず、マイクを持って、時々あまりうまいとは言えないキーボードを弾きながら歌っていたのにもびっくりしたが、もっとびっくりしたのは、新作だった「Tempest」からの曲がメインで、いわゆるよく知られた曲は殆どやらなかったこと。「俺の新作を聞け!」という感じで、ものすごくダンディだった。最後にようやく「風に吹かれて」をやってくれたのだが、まったく原曲をとどめていないくらいにアレンジされていて(毎度のことではあるが)、聞き終わっても、「ひょっとして今の“風に吹かれて”?」と周りと確認するいう感じだった。Bobはいつだって最高にクールだ。武道館だったか、一度、歌う以外、一度も言葉を発しないコンサートを体験したこともある。ということで、まずは、「Tempest」から。
Apple Muisc
Amazon
Paul Simonもいつもクールでダンディだ。何度も新しい音楽と出会わせてもらった。ジャマイカ、南アフリカ、ブラジル。どんな音楽をやっても美しいメロディに、知的な歌詞に、多様なリズム、ポール・サイモンにしかつくれない音楽になる。「SURPRISE」のリズムやアレンジにはアルバムタイトルではないがびっくりだった。1941年生まれで2006年の作品だから65歳の時の作品だ。大胆に打ち込みのリズムを使ったアレンジ、65歳にしてまだ新しい音を創り出す。私もまだまだこれからだ。
「Everything about it is a love song」ポール・サイモンPaul Simonと同い年だったDr. Johnはクールでダンディでいかがわしい。2001年の「Creole Moon」は最高にかっこよかった。新しい音じゃないかもしれないが、ねちっこく腰にまとわりついてくる“This is New Orleans Funk!” 60歳のじいちゃんが骸骨のついた杖を突きながら、腰の底からファンキーな音楽を繰り出す。何度も彼のライブには行ったが、いつだっていかがわしくてクールだ。ブルーノートでピアノのすぐ横の一番前の席で見たことがあった。出てくる時はいつもの髑髏のついた杖をついてよろよろと出てきたが、ピアノを弾き始めるやいなや、ブルーノートがブードゥーの煙が充満したニューオリンズのいかがわしいストリートに変貌する。とにかく何もかもがクールだ。演奏後、目の前をみたらモニタースピーカーの上に手書きの曲目リストが置きっぱなしになっていた。思わず持って帰って家宝にしたのだが、あれはまずかったか。まあ、もうだいぶ前だし、Dr. Johnも天国に行ってしまったことだし、許してもらえるだろう。
「You Swore」ドクター・ジョン毎度、最後に紹介する僕の曲の中に出てくるミュージシャンの曲を。年寄りだから、思わず口ずさむ曲も古いということで使わせてもらっている。ビートルズはもはや今から50年以上前の音楽だ。ちょっと信じられない。そのうち、モーツアルト生誕250周年と同じように、「Rubber Soul 250周年記念盤」みたいなものが出るんだろうか。さて、彼の数多くあるいい曲の中で僕が一番好きな曲が意外かもしれませんがこれ。
「Instant Karma!」ジョン・レノン最後に私の歌を。コミカルな歌詞だけど、切実な実話だ。子どものままで大人にもなれていない私はダンディ・クール・マンにはなれそうにない。いつか、Claptonのようなダンディ・クール・マンになりたいものだ。BandLabの仲間であるMahaがアレンジしてくれたバージョンがあり、私が書いた古臭いカントリー調の曲がダンディでクールになっているので、今日はそちらのバージョンを。
Dandy Cool Man 作詞作曲:金子茶琳
You may be right
I may be wrong
I lost my control right after gong
Maybe I had talked too long
I am not going to be a dandy cool man
I may be wrong
You may be right
Was it a mistake that I turned off light
Maybe you just want to get high
I am not going to be a dandy cool man
Ah, dandy cool man
Ah, dandy cool man
Teach me how to dance
You may be too young
I may be too old
I tell you a story that once I told
Every joke I tell makes you cold
I am not going to be a dandy cool man
I may be too old
You may be too young
I hum a song John Lennon sang
I take out cash at the counter of bank
I am not going to be a dandy cool man
Ah, dandy cool man
Ah, dandy cool man
Teach me how to dance
こちらもオススメ
音楽好きのつぶやきVol.5 Fun, Fun, Fun - ザ・ビーチ・ボーイズ
何も考えなくてもいい映画を見るのが好きだ。休日とか仕事を終えた夜とか。もちろん、コメディ映画で笑うのもいいが、アクション映画で興奮するのもよい。007は大好物だ。特に今のボンドのダニエル・クレイグさんのボンドは大好きだ。動きについていくのがやっとなくらいキッレキレで、頭の中が空っぽになっていく。ストーリーは心地よいくらいの複雑さ。 音楽にも同じような感覚がある。ロックンロールは3分以内と言ったのが誰だか知らないが、激しく同意する。というわけで、複雑なアートになっていっていたロックンロールの救世主だったこの ...
音楽好きのつぶやきVol.11 Sunny Afternoon - キンクス
オルタナティブということではないんだけど、その時代のメインの音とパラレルにちょっとずれている音楽のほうが時代のど真ん中の音楽より好きだったりする。多分、僕が天邪鬼だからだ。今回は3大〇〇から漏れちゃってるけど、「俺的には1番」という音楽を紹介したい。 3大UKロックバンド(The Beatles, The Rolling Stones, The Who) ビートルズマニアやストーンズファン、フーの信望者には結構出会うが、キンクスフリークに会うことは滅多にない。でも、僕はThe Kinksが大好きだ。 ...
音楽好きのつぶやきVol.16 MADAN - サリフ・ケイタ
今回は声に注目して曲を選曲したいと思う。ジャズも大好きなので声が入ってない音楽もよく聞くけれど、やっぱり「歌」が大好きだ。ジャズの中でも一番好きなのはトランペットなんだけど、それはやっぱり一番、人の声に近いからかなあと思う。声に注目してと言いながら、最初はまるで歌っているようなClifford Brownのトランペットから。 さて次からは人間の本当の声に注目します。この人のどこまで高く突き抜けていく声はやっぱり格別だ。歌を聞いていると、まるで彼の声の翼に乗って空高く舞い上がる。病気になってかつての輝き ...
音楽好きのつぶやきVol.24 OBI - トゥーツ・シールマンス
桜だなあ、新緑だなあ、紫陽花だなあと思っていたら、気がついたら、何時からでもビールを飲まざる得ないそんな気温に包まれるようになってしまいました。暑いのは大好きなのですが、年を追うごとにしんどさが増して、でも、エアコンに浸っているとそれはそれで体調が崩すという悪循環に陥りそうなので、ビールを扇風機とこの音楽で我慢しようかと思います。まずは、どうしてか、この最初のテーマを聞いた瞬間から、背筋がピンと伸びて、暑さを忘れてしまうんですよね。なんでだろう。 アルバム全体を通して、シャキッとします。このアルバムハ ...
音楽好きのつぶやきVol.10 That’s how strong my love is - オーティス・レディング
ブラジル音楽に興味を持ったときくらいからか、膨大な音楽の海を前にして途方に暮れるようになった。現代の新しい音楽との出会いを探す暇がない。。。ただ年取っただけかもしれない。まあ、100年前の音楽でも初めて聴くときは自分にとっては新しい音楽だから、別に新曲を追い求める必要ないとも言える。村上春樹さんの「ノルウェーの森」に50年以上前に書かれた小説しか読まないという先輩が出てきた気がする。わからなくもないが、やっぱり新しい音楽との出会いは格別にワクワクするし、ピーター・バラカンさんのラジオは毎週聞いている。と、 ...
音楽好きのつぶやきVol.23 Little Peace in C for U - ミシェル・ペトルチアーニ&ステファン・グラッペリ
春だ!と思って書き始めたのですが、忙しさにかまけて書きあがる前に梅雨に。。。ちょっと季節外れになっちゃったけど、駆け込みで、春に聞きたくなる音楽を紹介してみたいと思います! まずは音が鳴った瞬間にここでないどこかへ連れて行ってくれるこの人たちの曲から。 いやホントに一音目から、パリの屋外のカフェに連れていかれる感じがするのです。ステファン・グラッペリのヴァイオリンはもちろん秋に聞いてもいいものですが、やっぱり春のそよ風を屋外で感じている感じがします。ステファンの演奏を何曲か。 ミシェルのピアノにも僕 ...